2014年9月25日木曜日

熊楠のみたものは

いつも京都、大阪どまりな関西。時間の合間をぬって、南方熊楠記念館にいってきました。和歌山は初体験。ほとんど何も調べずにふらっと行くのもめずらしく。とりあえずムスメもいるので無茶な旅行もできずに(関西に行くのですでに無茶をしているだけに)、とりあえず下見もかねて、ということで。
いざ、レンタカーにのって白浜へ。

車から降りると、むわっとした温室のような湿度、と、海の感触。
小さな小高い山の中に熊楠の記念館はありました。人もほとんどおらず。熊楠の一生をほんの少しかいま見ることができました。
10歳から14歳の頃にうつし終えたという和漢三才図会をはじめとする数々の蔵書。
一度書いたものは忘れないという並外れた記憶力の持ち主。彼はアスペルガーだったとされているようですが、確かに常人ではないことは伝わってきました。
館内の粘菌を顕微鏡でのぞいてわくわくしたり。サボテンをそのまま押し花のようにつぶした標本をみて、やってみようと思ったり。
記念館の屋上から白浜の眺望をぐるりと眺め、丘を散歩するカニを追いかけ、季節外れの海へ。

初めて見る海に興奮気味のムスメと足だけつかって遊んでみたり。

思いのほか時間がかかってしまい、顕彰館に行く時間はなく(記念館を後回しにすればよかった!)とれとれ市場で海鮮丼に舌鼓をうっていそいでまた戻るという強行日帰り旅行でした。


今の世の中に彼が生きていたら、なにを集めて考えるのだろう。やっぱりデータなどではなく、形に残る生のなにかを集めるのでしょうか。

熊楠のみつめていた宇宙。顕微鏡でのぞいた世界から、歩いて探しまわったジャングルの中から、膨大な本から得られた知識から、彼の構築した宇宙を、彼の残した数々の標本や言葉から私たちは想像するしかありません。